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2008年3月14日 声をたずねて世界旅《イタリア編》8

2008/03/14
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1時間の自由時間は、あっという間に過ぎてしまい、また水上バスと言われるフェリーに乗る。
この水上バスは、ヴァポレットと言われ、ヴェネチア市民の足であるらしい。

船が動き出すと、私は心の中で叫ぶ。
「さようなら、ヴェネチア!」
「ありがとう、私たちを楽しませてくれて!」

岸壁に打ち寄せる、のったりとしたさざ波の中に、あのイカの黒いくちばし達が窮屈そうにぶつかり合いながら、びっしりと並んでゆれているのが見わたせる。
水上バスの回りには、ゴンドラがいくつか、あの粋なシャツのゴンドリエーレ達にゆったりと棹さされて・・・・。

やがて船の速度が上がり、波の上にヴェネチアの、ベニスの街が遠くなっていく・・・・。
これから満潮になるのか、ならないのか、水深は1mもなく波がヒタヒタと岸壁を愛撫しているかのようだ。
世界遺産といわれる、大きな宮殿のような建物の並んだ、その島が離れていく。

「ヴェネチアよ、水没なんかしないで!せめて今度また、私が来れる時までは!」

その時、私の隣で、ボーッと同じように離れていくベネチアを眺めていた、私の同行者が、眼を細めて手をかざしながら、つぶやくようにボソリと言った。

「あの建物の一階部分を、全部道路にすればいいんだな・・・・」と。


何秒かの沈黙があった。
そして私は、叫んだ。
「なるほど!」

「水没したら、一階部分を捨てて、道路を高くする!・・・・そうすればヴェネチアは生き残れる!」

互いに、声を上げた。
そして、しばらくの沈黙の後に、口々に言った。世界中の水没してしまう国々や島々も同じだと。もちろん我国、日本も!
一時しのぎかも知れないけれど、そしてとても困難かもしれないけれど、今からコンクリや、砂や、岩や、砂利を貯めておくことだ、と!

私達は、悲痛な冗談を言い合った。

ああ、地球の温暖化を、今すぐ、みんなで止めよーヨ!!

次回に続く