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2009年8月1日 声をたずねて世界旅《イタリア編Ⅱ》6
2009/08/01

ほとんど飛び込む様にして入った「カフェ・グレコ」は、本当にどこといって素敵な飾りなど全く無い。
日本で言えは本屋のつづきにしつらえてある様な雰囲気の店内だった。
本当にコーヒー好きな人が入るような老舗の感じで、ローマの栄光の片鱗も感じさせないさりげないという感じだった。
しかし、雰囲気がよくて、私の好みでもあり、大勢の人々が満席に近い位に入っていた。
見わたすと、カップルや、勤め帰りに人々が黙々とした感じでコーヒーを味わっている。
東洋人は、私以外、一人も見当たらない。
ああ、私は今、本当に西洋に居るんだな、と思った。
奥まった所に空いた席があるようで、案内されながら、人々の間をかきわけるようにして進んでいく。
まわりは、ほとんどが、イタリア人かヨーロッパ人ばかりである。
壁で仕切られた空間の席につく。
質素な木製の使い古したテーブルとイスであるようだ。
そのいくつかの壁には、たくさんの写真の額が、はりつくように飾られている。
大きな写真は無く、小さめの写真が多い。ほとんどセピア色の古い写真ばかりの感じである。
質素な割には店の雰囲気は、威厳が感じられて、好ましく思われ、私は心なごんだ。
――後で日本へ帰って本を見たら、1760年創立で、詩人のキーツを始め、ヨーロッパの芸術家達が多く出入りしていたとあり、感動したのであったが。
もちろん、そのセピア色の古い写真達は、出入りした彼らの写った本物の写真だった。(あー、もっとようく見るんだった!)
次回へ続く