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2009年8月16日 声をたずねて世界旅《アメリカ編》2

2009/08/16
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チェナ温泉リゾート村は、他に全く人家などの見当たらない、雪の平原に全てを管理している、アクティビティセンター(中央管理センター)の大きな木造の建物を中心に、他の温泉施設として必要な建物のみが、そのまわりに散在していた。
例えば食堂中心の建物や、温泉館、その他と、もちろんホテルの部屋が。ただしこのホテルの部屋は、1Fと2Fのアパート形式の建物で1軒につき4部屋である。そしてそれは、木立の中にあちこちと散在しているのであった。

そのホテルの室内は、入った途端、まるで熱帯のようにあたためられていた。
外の気温の激しい低さから扉を開けて入ると、本当に心から極楽だと思う。
もちろん扉は二重になっていて、我々の感覚とは違って、正に張り合わせたように2枚の扉が、つけられているのだ。
そして、その外側の扉は、ほとんど凍りついている。毎回開ける時は、スムーズに開きますように、と心に思ってしまう位だ。

そして、部屋に入れた時の満足感!
その暖かさは、こんな寒い北限の地で、こんなに暖かくっていいものか、と一瞬いぶかってしまう位だった。パジャマだけで過せる温度なのだ。

私は一人部屋で参加しているのだが、中には大きな部屋が2つあって、ベッドは計5つもあった。
ファミリーも使えるタイプなのだろう。外を歩くときは、防寒靴の下で、凍った雪がギシギシと悲鳴のような音をたてる。
顔も眼以外は、鼻も口もマスクか、マフラーでおおっていないと、5分もすると突き刺すような痛みを顔に感じるのに、本当に部屋の中のこの暖かさは!
きっとふんだんな電気を使って、暖房をしているからだろうと思う。それとも温泉の熱か?石油の熱なのか?
あまりにも豪華な暖かさに、うっとりとしてしまった私。

そう言えばここへ来る途中、ガイド氏の案内でアラスカを突っ切って延びている大きな石油のパイプラインを見学したっけ。その中を石油が流れて、遠くまで運ばれていくという。
地上約2mの、我々の頭の上を直径2m位もあるような太いパイプライン!
アラスカのツンドラ地帯の中にすごい宝が埋まっているんだ、とうらやましく思ったっけ。

外のそんな凍りついた風景を見ていると、ここにも四季があるというのが信じられない位だ。
もちろん冬が一番長く、他の季節は短いのだろうけれど。
春や夏には、花が咲き、木々が緑色に生い茂るなどとは考えられない位。それでもちゃんと夏が来るとか。

――とにかく、厳寒のそのチェナ村は、巨大なガラスに囲まれ、隔絶された、「水槽の村」のようであり、又何かの化学の実験にでも使われる、清浄な無菌状態にされたような村であり、全くの人工の村でもあるかのようだった。