2009年9月21日 声をたずねて世界旅《アメリカ編》6

【チェナ温泉4連泊のうちの第1日目記】
――
闇の中に遠く山々の稜線が、うっすらと見えている。
かなり遠いのだが、その稜線の一部の山々の上に、黄色と緑色の光が広がっている。
あまり小さいので、稲光かなと思ってしまったが、それがオーロラであると言う。
「まだまだ小さいね」と近くで誰かが言う。
数十人の人々が、雪の中に立ったまま、そのオーロラを鑑賞している。
ここは大きなログハウスの様な木造のアクティビティセンターの横にある、オーロラ観賞用のためのスペースである。
スペースといっても、何も無く、ただ遠目にも白い雪の地面が広がっているだけ。
少し目の前の方には、ツンドラ地帯らしい、あまり大きくない木々の林が続いており、この村が原野を切り開いて作られたのだろうと、うなずかれる。
「オーロラよ、もっともっと、大きくなーれ!」と心の中で願っている私。
日が暮れる前には、このすぐ前のスペースの小さな滑走路らしき所に、セスナ機が一機、止まっているのが見えた。
このチェナ温泉村より北の方は、道路が無く、交通網としては飛行機だけらしい。
あとは犬ぞりなのだそうだ。
村に入るとすぐに、レクチャーがあり、オーロラやその他の説明会のようなものがあったのだ。
それによると、オーロラは電磁波であるらしい。そして、色々な色の違いは、空中の高度によるものだという。
ちなみに一番地上に近いのが、ピンクであるそうだ。それは地上から約200kmの高さであると聞いた。
その他の色は、もっと高いのだそうだ。
しばらく見ていると、オーロラの黄色と緑色の位置が、わずかに左右へ移動しているのがわかる。
しかし、普段我々が写真で見たりして思い描いている、華麗なオーロラからは程遠い。
立ちっぱなしで見ていて疲れたので、アクティビティセンターの建物の中へ入る。
オッと、ドアの金属のノブは、絶対に素手で触らない様に、注意されていたっけ・・・・・・。一瞬に手をヤケドするそうだ。
――ああ、やっぱり、零下43度の世界だ!