BLOG

2009年9月23日 声をたずねて世界旅《アメリカ編》8

2009/09/23
ロゴ

さて、我々日本人の発声について、過去21年間、約2000人近い人々の発声トレーニングを、私なりの特殊な方法で、やらせていただいている経験をふまえて、いくらかの考察をさせていただこうと思います。
――もちろん、歌の方の発声法と話し声としての発声法とは、腹式呼吸の場所も、使い方も全く違うのですが・・・・・・。

――ずばり言って、日本人は、本当に、話し言葉における腹式呼吸の発声法(以下、腹式言語発声法と言わせていただきます)が、残念ながら非常に出来ない民族であると言えるでしょう。
これは過去21年間、話し言葉専門のボイストレーナーとして、多くの人々を指導させていただいて、つくづく残念なことだと思います。

だいたい日本人の99.5%以上が充分な腹式呼吸の出来ない民族だと言えます。
これは一つには、日本語が喉で喋れてしまう言語であるということ、また胸式呼吸で喋れてしまう言語であるとも言えるからでしょう。
――その結果、豊かな声量とはならず、魅力的な良い声とも、よく通る声ともなりにくいのです。
そして、少し長く喋ると、喉が痛くなる人が多い上、それは、聞いている人にも聞きづらい、通らない声でもあるのです。

このような事は、プロの舞台俳優の方々や、それを目指している方々にとっては、一番の難しい修業となっております。
何しろ、プロの舞台俳優の方々は、だいたい2000人位までには(劇場等で)マイク等を使わずに、はっきりと聞こえ、また魅力的な通る声を作らなければならないのですから。

――ただし、一流のプロの方々の中でさえ、自分の持って生まれた本当の魅力的な声を使える人は、超一流の劇団でも、10人のうち、1人いるかいないかという所なのです。
それゆえ、ちゃんと出て、使える人は、人の心を魅了し、聞いている人の魂をゆさぶるようなすばらしいセリフが言えるのです。
これはつまり、俳優として、魅力的に役を作れるという事にもつながるのです。

また、『俳優修業』という事では、1声、2顔、3演技と言われているように、一番大事なのは声、言葉の修業で、2番目が顔、容姿の良さ、そして演技のうまさが第3番目と言われています。
このうち、第2、第3番目がひっくり返ることはあっても、1番はやっぱり不動であるということは実に確かで、いかに、声と言葉が大切かということが、おわかりいただけた事と思います。

――つまり、声の一番のお仕事の舞台俳優が、これに一生をかけてもつかめない方々が多いという、腹式言語発声法なのですから、一般の方々は出来なくても、いや出来ない方が当たり前と言う事になります。
ですからあまり気にする事はないといえますが、出来れば一般の方々もトレーニングした方がよい事は言うまでもありません。

特に、喉の痛みや声量をつけたいという方々は、ぜひおやりになった方がいいのです。
またお年を取られれば、取られるほど、トレーニングをした方が良いといえます。
――ただし、その人、一人ひとり持って生まれた声の泉(声脈)は違っていて、同じ声の人は、この世にはいないということですので、その人なりの正しいルートや、ゾーンでなければ、かえってやると害になってしまいます。

私のやらせていただいている、ボイストレーニングアカデミーでは、一人ひとりその人の持って生まれた本当の声を、その声脈をさぐり聞きとりながらトレーニングいたしますので、お気が向きましたら、ぜひお電話かFAXを下さい。お待ちしております。

――と、少し自己宣伝も入りましたが、本題に戻ります。