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2009年10月2日 声をたずねて世界旅《アメリカ編》17
2009/10/02
――そして、私は思った。
――あの二人の男達はエンジニアで、このチェナ温泉村の、つまりこの隔絶したような人工村の存続のための、技術者であり、上層部の指導者層の人たちなのだろうと。
そして、その技術が、この人工村のすべてを把握し、動かしているのだろうと。
・・・・・・そう言えば、村の一部に、まっ白い大きな長方形のフレームらしき建物が、いくつか並んでいたっけ。
その厚手の壁は、やはり厳寒の地らしく、少しモルタル造りっぽかった。
誰かがあれは温室ですよ、と言っていた。
そして、それらのフレームは、中から強い電気の光が、昼間なのにすごく煌煌と、輝いて見えていたっけ。
ちょっと異様なような電気の強い光。その時は、ああ、ここには温室までちゃんとあるんだ、と思ったのだった。
すると、あのあざやかな緑色のレタスも?!
つまり、この村は科学の力によって、自給自足の出来る、完全な人工村であると言えるに違いない。
そしてつまり、自然の力だけでは冬を過せないのだ。
大勢の観光客を受け入れるためには!
――冬の間食べる野菜や果物も作れる、人工村。
あのすばらしいイチゴも、こうやって作られたのか。零下四十数度の厳寒の中で・・・・・・!
それにしても、あのフレームの中から、煌煌と輝く光は、ちょっと不気味な感じがしたものだ。
その中で、野菜たちは、自分の意思に反して、根を生やされ、葉を茂らせられ、実をつけさせられ、ちょうどニワトリのブロイラーのように、不自然に育てられているような気がする。
――そして、私達人間は、それらをおいしくいただく。
――何だか野菜たちに申し訳ないような気がしないでもない。
ありがとう、野菜たち!そして科学よ!